イーサネット(LAN)の波形を測定してみた!物理層をオシロで確認

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オシロスコープでイーサネット(有線LAN)の波形を測定してみました。

本来は専用の測定器が必要ですが、個人のオシロでも測定可能な箇所を確認しました。

LANケーブル接続時の信号波形を分かりやすく紹介します。

 

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イーサネット(LAN)の波形を測定してみた!物理層をオシロで確認

ラズベリーパイのイーサネット(有線LAN)の波形を測定してみました。

 

1000Base-Tに関しては低消費電力モードのアイドル時を測定しました。

(個人のオシロの周波数帯域では通常の測定は難しいため)

 

わざと速度を落とした100base-TXに関してはある程度は測定ができました。

 

測定方法・結果を詳細に紹介していきます。

今回使用しているオシロスコープの詳細は下記記事で紹介しています

よろしければ一緒にご覧ください。(リンク先はこちらから)

オシロスコープはおすすめ!電子工作のために購入してみた
オシロスコープを個人で購入してみました。 オシロがあれば電子工作の測定、電子回路の勉強などに使えて非常に役立ちます。 現役のエンジニアが自宅でオシロを使うメリット・デメリットを説明します。 また実際に通販で購入して、使い始めるまでの一連の流れも紹介します。

 

イーサネット(有線LAN)の測定準備

本来イーサネット(有線LAN)の測定をするには個人のオシロでは測定が難しいです。

 

最近のLANは1000BASE-Tが主流、またLANのインピーダンスが差動100Ωのためです。

インピーダンス整合が取れない、オシロの周波数帯域が足りない…等の問題があります。

実際に下記が筆者のオシロでLANの1000base-Tを測定してみた波形です。

 

本来は綺麗な方形波になるはずですが、程遠く何の波形か全く分かりません。

オシロスコープの周波数帯域の重要性については下記記事を参考ください。

オシロスコープの周波数帯域を超えての測定はNG?実際に確認してみた
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インピーダンス不整合による波形の影響については下記記事を参考ください。

インピーダンス不整合と反射の影響をオシロとシミュレーションで確認
インピーダンス不整合と反射の影響を調査してみました。 シミュレーションに加えて、実際のオシロスコープでも確認をしています。 実際に反射が起きてしまった場合の波形への影響具合を分かりやすく紹介します。

 

そのため今回は個人のオシロでも測定可能なイーサネット箇所を確認してみます。

  • 1000Base-Tでも低消費電力モードの波形
  • 100base-TXに通信速度を落とした波形

 

ラズパイのPHY BCM54213PE

イーサネットの波形を出力するIC(PHY)に関して概要だけ紹介します。

CPUと通信して有線LANの波形を出力するICをよく「PHY」と呼びます。

基本的にCPU⇔PHY⇔LANコネクタで信号が繋がっています。

 

今回テストに使ったラズパイ4のPHYは「Broadcom製 BCM54213PE」です。

1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-Tまで対応しています。

 

詳細のデータシートまではネット上で出てきませんでした。

(スペックはメーカHPに記載がありました。リンク先はこちら)

 

LANコネクタのピンアサイン

本来はドライバであるPHYの出力ピン付近で差動プローブで測定すべきです。

今回はLANコネクタのDIP箇所にパッシブプローブを直接当てて波形測定します。

(あくまで趣味のデバッグレベルの測定であることをご了承ください)

 

LANコネクタの基板側のピンアサインに関してはデータシートを確認するの確実です。

しかし、コネクタに印字してある型式で調べてもネット上で出てきませんでした。

(コネクタの印字としては、メーカ:Trxcom製 型式:TRJG0296HENL でした)

 

そのため、回路図と基板のパターン,実動作を見て確認しました。

細かいピン配置は省略していますが、下記イメージだと思います。

  • 「1,2ピン…TRD0_±」
  • 「3,6ピン…TRD1_±」
  • 「4,5ピン…CT(センタータップ)」
  • 「7,8ピン…TRD2_±」
  • 「9,10ピン…TRD3_±」

 

LANコネクタのケーブル側の回路図に関しては公式HPからダウンロード可能です。

下記記事に詳細を記載しているのでご参考ください。(リンク先はこちら)

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ラズベリーパイの回路図は部分的にですが公式HPで公開されています。 回路図を確認しながらラズパイの電源構成・シーケンスを調査してみました。 最新のラズパイの電源回路構成を分かりやすく紹介します。

 

イーサネット(有線LAN)の波形測定

通常のモードだとイーサネット(有線LAN)は接続先いないと基本的に差動0Vとなります。

未接続時でも電源ON時の差動各ピンの信号線レベルは約1.8Vでした。

 

そのため今回はラズパイで有線LANを接続して波形測定します。

接続すればIP等の設定をしなくとも、ハード(物理層)としては信号が確認できます。

ソフトとしては繋がってなくてもハードの波形は出力されます。

 

1000BASE-T測定時はラズパイ4、100BASE-TX測定時はラズパイ1Bと接続しています。

 

1000BASE-Tの信号

1000BASE-T通信の際はLANコネクタの全ピンが使われます。

差動信号4本の合計8本でデータが送受信されます。

 

1000BASE-Tの場合はどの差動箇所でも信号が確認できます。

4か所の差動線で250Mbpsの送受信を行っています。

今回は差動信号「TRD0_±」の1,2ピンを測定していきます

 

Energy Efficient Ethernet(EEE)の波形

最近のイーサネットは消費電力を抑える機能が付いている場合が多いです。

Energy Efficient Ethernet(EEE)、省電力型イーサネットなど呼ばれます。

データ送受信が無いアイドル時は、電力を抑えるため基本0Vとなります。

 

一定周期(20ms~22ms)でリフレッシュ信号を送ります。

今回の測定では周期は約22msでした。

またリフレッシュ1回につき約200us~220us分の信号となります。

 

筆者のオシロのRIGOL DS1054Zではスペック不足で、本来の1000Base-Tは測定出来ません。

しかし省電力モード時の波形の確認程度ならば出来ました。

 

ちなみにアップして1000BASE-Tの波形が下記です。

電圧レベルが5レベル確認できるはずですが、筆者のオシロでは全く分かりませんでした。

 

100BASE-TXの信号

本来ラズベリーパイ4の有線のLANは1000BASE-Tで動作します。

しかし相手先が100BASE-TXの場合は自動的に100BASE-TXに速度が変更されます。

オートネゴシエーション(Autonegotiation)という機能です。

 

今回は古いラズベリーパイ1Bに接続することで100BASE-TXの波形を確認します。

100BASE-TXでは差動信号2ペアの合計4本でデータを送受信します。

 

1000BASE-Tの際は送受信でしたが、100BASE-TXは送信・受信の差動線が分かれます。

送受信するデータ量としては送信・受信共に100Mbpsです。

但し100BASE-TXは4B/5B変換というデータ転送方式を使います。

その影響で実際の波形としては125Mbpsの波形となります

 

また100BASE-TXで使用しないLANコネクタの差動線は常に差動0Vとなっていました

 

EEE(省電力モード)がOFFの波形

最近のPHYでは100BASE-TXでもEEE(省電力モード)が搭載されているケースが多いです。

但し、古いラズベリーパイ1Bに関しては搭載されていません。

そのためEEEがOFFのため物理層の波形としては常に出ている形となります。

 

100BASE-TXの周期

波形をアップすると100BASE-TXの波形を(ある程度は)確認できました。

全体でみるとMLT-3の影響で電圧レベルが3段階になっていることを確認できます。

 

本来は方形波になるはずですが、測定環境の影響で大分なまっています。

しかし、1000BASE-TXである1bitあたりの周期が約8ns(125Mbps)は確認できました。

 

まとめ

今回はイーサネット(有線LAN)に関して紹介させていただきました。

記事をまとめますと下記になります。

EEE(省電力モード)時の波形は簡単に確認できる
100BASE-TXのイーサネットの波形としては125Mbpsとなる
個人レベルのオシロでも部分的にイーサネットの波形を確認できる

 

RIGOL DS1054Zは趣味の波形測定・解析が十分に測定が可能です。

コストパフォーマンス込みで非常に優秀なオシロスコープです。

下記記事でも紹介していますので、よろしければご覧ください。(リンク先はこちらから)

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