オシロスコープを個人で購入してみました。
オシロがあれば電子工作の測定、電子回路の勉強などに使えて非常に役立ちます。
現役のエンジニアが自宅でオシロを使うメリット・デメリットを説明します。
また実際に通販で購入して、使い始めるまでの一連の流れも紹介します。
オシロスコープはおすすめ!電子工作のために購入してみた
オシロスコープを個人で購入しました!
購入したオシロスコープの型式はRIGOL DS1054Zです。
4chのオシロスコープを購入したため、多く信号波形が取れます。
やはりオシロが1台あると電子工作の波形測定、電子回路の学習が捗ります!
個人で購入できるオシロスコープもハンディ型・USB型・据え置き型など多くあります。
今回は据え置き型のオシロスコープの良さを紹介していきます。
オシロスコープを購入するメリット
元々筆者はテスターやロジアナ,1万ほどの安いUSBオシロの測定器を持っていました。
それでも据え置き型のオシロスコープをおすすめする理由を紹介します。
おすすめする主な理由は下記です
オシロスコープの操作性は重要
オシロスコープの操作性は「電子工作の作業」「電子回路の勉強」の効率に大きく影響します。
筆者は昔に簡易的なUSBのオシロスコープを購入しました。
ある程度は使えたのですが、操作性が安定しなかったです。
(あくまで筆者が所持していたUSBオシロが1万程度の簡易的なものだった影響が大きいです)
簡易的なUSB接続のオシロを使って、狙った波形が取れなかった場合が一番困ります。
(あと筆者はPC上での波形調整がどうにも慣れなかったです)
簡易的なUSBオシロ自体で測定出来ていない場合は測定器・ソフトまで疑う必要があります。
- そもそも信号が出ていないのか?
- プローブの当てる箇所が間違っているのか?
- PC⇔USB間の通信が出来ていないのか
- PCのソフトが正常に動作できていないのか
正直言うと作業効率が悪く、すぐに安いUSBオシロは使わなくなりました
電子回路で測定器を疑いだすと一気に作業効率が悪くなります。
その点、据え置きオシロスコープは安心感があります。
特に仕事・研究でも据え置き型に慣れている方は断然据え置き型のオシロをおススメします。
正直ものによると思いますが、ソフト経由のUSB型と比べて大分操作性は安定します
やはりPCのソフト経由ではなく、慣れている「つまみ」を触って波形を調整できると効率が違います。
やはり「操作性の良さ」はオシロを購入するので一番気にする箇所だと考えています
オシロスコープでUSBに波形保存ができる
撮った波形をUSBで保存できることもオシロスコープの大きなメリットです。
「印刷」を押すだけでUSBに波形保存することができます
電圧測定するだけならばテスターがコンパクトで一番簡単です。
但し波形として保存することができず、一時的な電圧値としか記録することが出来ません。
またハンディ型の安いオシロだとUSBなど外部の記憶媒体に保存できないものもあります
基本据え置きのオシロスコープは一度測定した任意の波形をデータとして保存することができます。
また複数ch測定でき、測定値含めて一緒に保存できるのは電子回路を学ぶ上で非常に役立ちます。
オシロスコープならばAC/DCの電圧波形が測定できる
オシロスコープはAC(交流),DC(直流)含めて幅広い電圧の波形測定可能です。
実際に交流AC100Vをオシロスコープで測定した記事が下記となります。
よろしければご覧ください。(リンク先はこちらから)
![](https://misoji-engineer.com/wp-content/uploads/2020/04/DS1Z_QuickPrint11-1-160x90.png)
- テスターでも電圧値を確認できますが、波形測定はできません。
- ロジックアナライザは波形の解析できますが、指定のDC電圧でしか対応できません
その点オシロに関してはAC/DC含めてオシロ・プローブの許容電圧まで自由に測定可能です。
測定電圧の幅が広がることで、より多くの電子工作の作業が可能になります。
オシロスコープにアナライザ(解析)の機能も付いてるケース
今回筆者が購入したRIGOL製DS1054Zもですが、アナライザの機能も付いているオシロがあります。
例えばRS232Cなどのシリアル波形を電圧測定するだけでなく、解析することも可能です。
プロトコルを解析する際もアナライザまで用意する必要がなく、オシロで一緒に測定できて楽です。
実際にRS232C・UARTの通信解析をした記事が下記になります。(リンク先はこちら)
![](https://misoji-engineer.com/wp-content/uploads/2020/04/DS1Z_QuickPrint16-160x90.png)
オシロスコープを購入するデメリット
個人の自宅で据え置き型のオシロスコープを購入する際に気を付けることは下記一点に尽きます
今回購入したオシロもまだ商業用に比べたら大分コンパクトの方です。
それでも小さい作業机だと「オシロスコープ」+「プローブ」+「測定物」を置くとほぼ埋まります。
もし購入する方はオシロ専用の台を確保するか、大きい作業机を用意することをおすすめします。
据え置き型のオシロスコープを買ってみる
据え置き型オシロスコープのメリット・デメリットを紹介させていただきました。
今回据え置き型のオシロスコープを実際に購入してみました。
購入してから測定テストしてみるまでの流れを紹介します
オシロスコープの価格
今回筆者が購入したRIGOL製DS1054Zは5万~6万ぐらいの入門用モデルです。
学生でも社会人でも少し背伸びすれば何とか購入できる金額だとは思います。
正直オシロスコープの価格に関してはピンキリです。メーカー・スペックによって値段が違います。
企業・研究所が使う性能のオシロスコープに関しては数百万~数千万以上の値段がします。
リゴル(RIGOL)は国内(横河)や超大手(テクトロニクス・キーサイトなど)メーカーではないです。
しかし4chの据え置き型の新品としてのコストパフォーマンスは凄いと思います。
オシロスコープの4chのメリットをまとめた記事が下記になります。
是非合わせてご覧下さい。(リンク先はこちら)
![](https://misoji-engineer.com/wp-content/uploads/2020/06/sIMG_20200527_163003_7-1-160x90.jpg)
趣味で使う分には非常にメリットあるオシロ・メーカーと考えています。
オシロスコープの性能・スペック
RIGOL製DS1054Zの代表的なスペックとして下記が挙げられます。
- 周波数帯域_50MHz
- サンプルレート_1GSa/s
- チャンネル数_4チャンネル
数百MHz,数GHzの高速信号以外ならば大抵のものは測定できます。
(趣味の電子工作ならばほとんどの信号が測定できると思います)
具体例を挙げさせてもらいますと、交流100V(60Hz)の波形を下記記事で測定しています。
またシリアル通信(9600bps,115200bps…)の波形も下記記事で測定しています。
USBシリアル通信のボーレートの最大は?通信速度(bps)をオシロで確認
USBのフルスピード(12Mbps)に関しても下記記事で測定しています。
USBのフルスピードとハイスピードの切り替えをオシロで確認してみた
様々な信号が測定できますので、趣味で使う分では十分満足できるオシロだと考えています。
オシロスコープの周波数帯域とは
オシロスコープの周波数帯域の詳細については下記記事で紹介しています。
よろしければご覧ください。(リンク先はこちらから)
![](https://misoji-engineer.com/wp-content/uploads/2020/04/sIMG_20200425_174758_1-2-160x90.jpg)
オシロスコープのサンプルレートとは
オシロスコープのサンプルレートの詳細については下記記事で紹介しています。
よろしければご覧ください。(リンク先はこちらから)
![](https://misoji-engineer.com/wp-content/uploads/2020/05/usb-serial-28-10-160x90.png)
オシロスコープをAmazonで購入して大丈夫?
今回はAmazonでオシロスコープを購入してみました。
筆者としても5万以上する測定器をECサイトで購入する経験は初めてでした。
梱包形態
Amazonで購入するといってもオシロスコープのリゴル(Rigol)は中国メーカーです。
筆者のオシロはANAの空輸で日本に運ばれたようです。
特に梱包形態も問題なく、しっかり段ボールが2重にされた状態でした。
さらに衝撃が直接オシロにかからないように発泡スチロールで中に浮いている構造でした。
Amazonでオシロスコープを購入しても(筆者視点では)梱包形態は問題ありませんでした。
特に初期不良もなく安心して使えています。
校正(キャリブレーション)
オシロスコープは出荷時にメーカーで問題ないことが確認されています。
今回のオシロにも証明書が同梱されていました
メーカ出荷時点での校正証明書(Certificate Of Calibration)も一緒に付属されていました。
Amazonで注文日が2020年3月12日で、校正日が直近の2020年2月22日でした。
そのため出荷してから古い在庫品ということでもありませんでした。
(筆者の場合ですが)しっかり直近で検査された物が納品されて安心しました。
本来はオシロが正常なのか確認するため外部で定期的に校正を行う必要もあります。
正規販売代理店に依頼すれば対応は可能ということです。(趣味で使う人で定期校正をする人は稀だと思いますが…)
※筆者は趣味での使用のたお金・時間がかかる定期校正は省略する予定です。
故障・修理したときの対応
筆者が注文したときのAmazonの注記では3年間保証ということでした。
正直な所、本当に故障したときは何処まで保証してもらえるかはケースバイケースだと思います。
本当に修理する場合でも数万のオシロレベルだと新品買った方が安く済む場合もありそうです。
(実際にその時になってみないと分かりませんが…)
正直ここら辺は個人の考え方にもよると思います。
筆者としては初期不良が無く十分に測定できていますので正直、現時点でも十分に満足しています。
もし故障・修理対応する場合になりましたら、また記事を書かせていただきたいと思います。
オシロスコープにプローブは付属されています
オシロスコープを購入すると基本的にチャンネル数分のプローブも付属されてきます。
今回はRIGOL製のパッシブプローブPVP2150が4本入っていました。
汎用的なプローブでAC(交流)、DC(直流)の両方を測定することができます。
1:1/10:1切り替え可能のパッシブプローブ
また付属されてきたのは1:1/10:1の受動電圧(パッシブ)プローブです。
1:1/1:10の切り替えが可能です。
測定カテゴリはCATⅡです。1:1は150Vまで、10:1は300Vまで測定が可能です。
オシロスコープの電源のアースについて
日本の家庭でオシロスコープ使うとき一番困るのはアースの取り方です。
据え置きのオシロスコープはアース付きの電源ケーブルになっています。
アース付きの電源ケーブルに対して、日本のコンセントは基本アースが無いため対応が必要です。
対応方法としては下記2例が有りますが、基本的にアースすることが必要です。
アース付きコンセントを使用する(推奨)
基本的にオシロスコープはアース付きコンセントを使用します。
測定条件によって例外はありますが、接地(アース)して測定するケースが多いはずです。
購入したオシロの取扱説明書にも安全要件で「本計器は接地してください」と明記されています。
(取扱説明書のPDFのリンク先はこちらから)
台所や風呂場、エアコンなどは感電防止のため、アース付きコンセントがあるケースが多いです。
日本の家庭の中では少ないですがアース付きコンセントは探せばあるかと思います。
オシロスコープを接地(アース)していればAC100Vを測定しても感電のリスクは少なくなります。
ただしGND側のプローブを変な箇所で測定するとGND-接地間で短絡(ショート)する恐れもあります。
アース・プローブは正しく接続お願いします。
特にAC100Vを測定する場合は電気知識を十分に持った方が実施するようにお願いします。
電源3ピン→2ピン変換アダプタを使う
市販で売られている電源3ピン→2ピン変換アダプタを使用する方法があります。
アース端子を浮かしたままでもオシロは(一応)動作します。正直一番楽です。
しかし測定・安全性の懸念があるためアースを浮かすのは推奨はできません。
(メーカー推奨の接続方法からも外れます。)
オシロのアースを浮かすことに関しては下記懸念点が考えられます。
- オシロスコープのGNDの電圧が浮くことになり感電の危険性が高まる
- オシロと測定物のアースが異なるため測定結果に影響がでる
※逆にアースからのノイズを考慮して、わざとアース(接地)しないケースもあります
またオシロとアースと感電の仕組みは別の記事で紹介したいと思います。
オシロスコープで波形を測定をしてみる
電源ケーブル・プローブを付けた後に、電源を入れてオシロスコープで測定してみます。
基本的な内容ですが、オシロスコープの検査用としてある「補償信号出力端子」を測定します。
3Vの1KHzの方形波が確認できるはずです。
実際の測定に解説を加えた動画が下記となっています。是非一緒にご覧ください。
オシロスコープの電源を入れる
最初にオシロスコープの電源を入れます。
電源を入れてからロゴが出ますので、10秒~20秒ほど待ちます。
オシロスコープのRUN(開始)を押す
オシロスコープの「RUN/STOP」を押すと測定が開始されます。
オシロスコープの水平軸と垂直軸を調整する
垂直軸と水平軸のつまみで波形を調整します。
オシロスコープのカーソルで周波数・電圧を確認してみる
「Cursor(カーソル)」を押して、つまみで調整して波形の周波数・電圧を確認してみます。
大体電圧が3Vで周波数が1KHzになっていることが分かります。
オシロスコープの測定で周波数・電圧を確認してみる
カーソル以外でも「Measure(測定)」を押すことで自動で周波数・電圧を確認できます。
オシロスコープの波形をUSBに保存してみる
測定した波形を保存する方法は簡単です。まずUSBを挿します。
あとは「印刷」のボタンを押すだけです。自動でUSBにデータが保存されます。
実際に撮った波形が下記になります。無事オシロスコープで測定できました。
(※若干波形が歪んでいますので、また別途プローブの補正は実施しておきます)
購入したオシロスコープへの不満は?
今回筆者も据え置き型のオシロスコープを購入しましたが、不満はほとんど無いです。
かなり満足しています。もっと早く買っておけば良かったと思っているぐらいです。
あえて言うならば…
若干、垂直軸・水平軸を一気に動かしたときに反応が遅いときがたまにある。ぐらいです。
正直ほぼ気にしないレベルです。
まとめ
オシロスコープの購入に関しては、お財布と相談して検討してもらえれば良いと思います。
但し、購入する場合は「据え置き型」のオシロを筆者はおすすめします。
作業効率含めた下記メリットが非常にあるためです。
その中でも今回紹介したRIGOL DS1054Zは非常にコストパフォーマンス優れた良いオシロです。
ぜひ皆さまも検討してみてください。
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