オシロスコープのAC結合とDC結合で波形測定してみました。
AC結合では直流成分が除去されて、交流成分のみ確認できています。
実際の波形・測定動画含めてAC結合とDC結合の違いを分かりやすく紹介します。
AC結合とDC結合の違いをオシロスコープで確認してみた
オシロスコープで波形測定してAC結合とDC結合の違いを確認してみました。
基本的にデフォルトではオシロスコープはDC結合の設定だと思います。
3.3Vの100HzをDC結合で測定した場合は、「0-3.3V」の100Hzが確認できます。
AC結合に切り替えた場合は「-1.65V~1.65V」の100Hzが確認できます。
AC結合のコンデンサにより直流成分が除去されて、オフセット電圧が0Vとなります。
AC結合とDC結合の違いをオシロスコープの事例から分かりやすく紹介します。
また実際にAC結合とDC結合で測定した動画も下記で紹介しています。
カップリング設定の切り替えの様子も分かると思います。是非一緒にご覧ください。
AC結合のオシロスコープの回路を確認してみる
基本的にオシロスコープはAC結合とDC結合の選択が可能です。
オシロスコープの入力(BNCコネクタ)箇所でプローブからの信号を切り替えることができます。
筆者のオシロスコープの入力箇所には1MΩ抵抗と13pFのコンデンサが平行に接続されています。
その直前で直列にコンデンサに接続するとAC結合になる認識です。
回路図としては下記認識です。※あくまで筆者のイメージです。
筆者のオシロスコープのRIGOL DS1054ZのAC結合のスペック値として下記記載でした。
「低周波数応答(交流結合、-3dB)…≦5Hz (on BNC)」
つまり5Hz以下の信号はほぼ減衰され、それ以上の交流成分のみ伝わる形となります。
今回使用しているオシロスコープの詳細に関しては下記記事で紹介しています。
AC結合のコンデンサ容量をカットオフ周波数から計算してみる
-3dBのカットオフ周波数が5Hzということでしたので、逆算してみます。
カットオフ周波数の計算式は「f=1/2πRC」です。
一旦13pFは省略して計算してみると「5Hz=1/2π(1MΩ)C」ということになります。
「C≒0.0318uF」となり、単純換算だと「0.033uF」周辺が使われているかと思います。
AC結合の周波数特性をシミュレーションしてみる
計算したコンデンサ容量で周波数特性のシミュレーションを実施してみます。
シミュレーションソフトはLTSPICEで実施しています。
上記は下記記事でオシロスコープの入力特性を確認したものにコンデンサを追加したVerです。
オシロスコープの周波数帯域を超えての測定はNG?実際に確認してみた
周波数特性のグラフは下記です。狙い通り大体5Hz付近で-3dB減衰する特性となっています。
※あくまで今回のは筆者の個人的な簡易的な計算・シミュレーションです。
(本当のコンデンサは劣化・誤差など考慮してもっと大き目な容量かもしれません。)
AC結合とDC結合をシミュレーションしてみる
AC結合のコンデンサ容量も計算できたので、実際の波形を想定してシミュレーションしてみます。
3.3Vの100Hzの信号を入れた時を(10:1)プローブ含めて確認してみます。
DC結合をシミュレーション
まず最初にDC結合でシミュレーションします。モデルは下記の通りです。
オシロスコープの入力箇所にコンデンサは無い形となっています。
結果はもちろんオシロスコープ箇所で「0-3.3V」の100Hzを確認できています。
※10:1プローブなので、測定箇所×10をしています。
AC結合をシミュレーション
次にAC結合でシミュレーションします。モデルは下記の通りです。
オシロスコープの入力箇所にコンデンサがある形となっています。
またAC結合はオフセット電圧が安定するまでにディレイがあるため、時間を長くしています。
結果はAC結合のコンデンサによりオフセット電圧が「0」Vになっています。
(回路の時定数分はオフセット電圧が安定するまでにディレイがありますが…)
時間が経った後の波形を確認してみます。(終盤の0.9s~1.0sを拡大)
大体「-1.65-1.65V」の100Hzの信号をオシロスコープで確認できています。
AC/DC結合の波形を測定できる環境を用意する
シミュレーションも確認できましたので、実際にAC/DC結合の波形測定できる環境を用意します。
シミュレーションと同じく実際の波形測定も100Hzで確認します。
100Hz程度ならばPythonとラズベリーパイ(raspberry pi)で簡単に方形波が作れます。
※正確に言うと微妙な誤差は発生しますが、テストレベルのため楽しています。
ラズパイにはデフォルトでPythonがインストールされており、誰でも簡単に使用できます。
初心者の方でも大丈夫です。下記記事で使い方を紹介しています。(リンク先はこちら)
ラズパイのGPIOから一定周期(100Hz)でON/OFFする簡単なプログラムです。
下記のようにPythonで10数行で簡単に作成可能です。
下記の紹介するコードをそのまま貼り付ければ動作します。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 |
#!/usr/bin/env python # -*- coding: utf-8 -*- import RPi.GPIO as GPIO import time GPIO.setmode(GPIO.BCM) GPIO.setup(17,GPIO.OUT) for i in range(1000): GPIO.output(17, True) time.sleep(0.005) GPIO.output(17, False) time.sleep(0.005) GPIO.cleanup() |
AC結合とDC結合の切り替えをオシロで試してみる
オシロスコープでのAC結合とDC結合の切り替えは簡単です。
筆者のオシロだと各CH設定箇所の「Coupling」を切り替えるだけです。
「DC」だとDC結合になり、「AC」だとAC結合になります。
冒頭でも紹介しましたが、実際の測定動画が下記となります。
特にAC結合ではシミュレーション通りの結果になっていることが分かります。
オフセットが安定するまでディレイがあります。是非一緒にご覧ください。
DC結合の測定波形
3.3Vの100HzをDC結合で測定した場合は、「0-3.3V」の100Hzが確認できます。
ラズパイから出力された信号がそのまま測定できています。
AC結合の測定波形
AC結合に切り替えた場合は、「-1.65V~1.65V」の100Hzが確認できます。
AC結合のコンデンサにより直流成分が除去されてオフセット電圧が0Vとなります。
まとめ
今回はAC結合とDC結合の違いをオシロスコープを題材に紹介させていただきました。
記事をまとめますと下記になります。
筆者のオシロのRIGOL DS1054Zは趣味の波形測定・解析が十分に測定が可能です。
コストパフォーマンス込みで非常に優秀なオシロスコープです。
下記記事でも紹介していますので、よろしければご覧ください。(リンク先はこちらから)
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