ACカップリングのコンデンサ容量の影響を確認してみた

LTSPICE

ACカップリングのコンデンサ容量による波形への影響具合を確認してみました。

適正な容量にしない場合、どのような波形になるのか確認しています。

ACカップリングのコンデンサの重要性を分かりやすく紹介します。

 

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ACカップリングのコンデンサ容量の影響を確認してみた

ACカップリングのコンデンサの容量次第ではどのような波形になるか確認しました。

カットオフ周波数に影響される場合、交流成分が全て伝達されない結果でした。

 

またPCI ExpressやHDMIなどのACカップリングも簡易的に確認・シミュレーションしました。

高速信号でACカップリング回路ではコンデンサの0.1uF(100nF)が良く使われています。

0.1uFの容量が変わった場合の影響含めて確認しています。

 

ACカップリングでのコンデンサの役割・重要性について実例交えて紹介していきます。

下記動画で実際にコンデンサ容量変更してオシロスコープで回路を測定しています。

是非一緒にご覧ください。

AC結合のコンデンサ容量の影響を確認してみた

 

ACカップリングでのコンデンサの役割

ACカップリングはコンデンサにより直流成分のみ除去して、交流成分のみが伝達されます。

 

ACカップリングを周波数特性のグラフでみると下記形になります。

低周波数帯はカットして、高周波帯のみを通すことで交流成分のみ伝えることになります。

 

例えば下記のような簡単なACカップリング回路の例をシミュレーションしてみます。

 

コンデンサにより直流成分が除去されて、基準電圧(オフセット)が0Vとなります。

  • ACカップリング前…「0V~3.3V」の25MHzの波形
  • ACカップリング後…「-1.65V~1.65V」の25MHzの波形

 

ACカップリングの基本的なシミュレーション、実際の測定を下記記事で紹介しています。

よろしければ一緒にご覧ください。(リンク先はこちら)

ACカップリング回路の波形をオシロスコープで確認してみた
ACカップリング回路を自作して、実際に波形をオシロで測定してみました。 測定結果とシミュレーションを比較して、理論通りの結果であることを確認しています。 ACカップリングの原理を分かりやすく紹介します。

 

コンデンサ容量とカットオフ周波数の関係

コンデンサ容量はカットオフ周波数に関係してきます。

カットオフ周波数は「f=1/2πRC」の計算式で出ます。

コンデンサが容量が小さいと、カットオフ周波数が大きくなります。

 

ACカップリングに通す信号の周波数がカットオフ周波数に近いと減衰してしまいます。

カットオフ周波数で-3dB(出力電圧が70%)に減衰します。

信号としてはカットオフ周波数からなるべく離れた、高い周波数を使う必要があります。

 

ただコンデンサ容量が大きすぎても、物理的に大きなコンデンサが必要になってしまいます。

現実的にACカップリングで使えるものは小さなセラミックコンデンサ(1005,0603)などです。

そのため適切なコンデンサ容量を配置する必要があります。(写真はラズパイの例)

 

PCI ExpressのACカップリングのコンデンサ容量

ACカップリングと言えば(筆者は)高速信号でよく使われているイメージです。

よくパソコン内の高速IFで使われているPCI ExpressでもACカップリングされています。

 

最新になるにつれ通信速度が上がる分、推奨コンデンサ容量も大きくなっています。

  • PCIe Gen1/2(2.5/5GT/s)…75-265nF
  • PCIe Gen3(2.5/5/8GT/s) … 176-265nF

上記範囲だと0.1uF(100nF)、もしくは0.22uF(220nF)あたりが使われていると思います。

 

PCI Expressの規格団体(PCI-SIG)の資料に上記記載の推奨コンデンサ容量が書かれていました。

PCI Express Electrical Signaling - PCI-SIG

 

高速信号でコンデンサ0.1uF(100nF)がよく使用されている

PCI Express以外の高速信号でもコンデンサ容量0.1uF(100nF)がよく使われています。

筆者の所有しているFPGA評価ボードのHDMIの箇所もACカップリングされていました。

このコンデンサ容量も0.1uF(100nF)が使われています。

 

実際にこのFPGA評価ボードのHDMIコネクタからカラーバーの画像出力を行っています。

フリーのIPを使用していますので、誰でも同様にテスト可能です。(リンク先はこちら)

FPGAでHDMIから画像出力!フリーのIPを使ってみた
フリーのIPを使ってFPGAから画像出力してみました。 HDMIコネクタ接続のディスプレイにカラーバーを表示させています。 IPの入手方法からピンの設定まで分かりやすく手順を紹介します。

 

ちなみにHDMI(DVI)の周波数は解像度の設定で決まります。高解像度ほど周波数が高いです。

かなり低い解像度の600x480だと、ピクセルクロックが25.125MHzとなります。

そのためHDMI(DVI)は基本的に25MHz以上の周波数の信号となります。

 

ACカップリング回路のコンデンサ容量を変えてシミュレーション

HDMI回路のACカップリングが0.1uFで問題ないのかシミュレーションを行ってみます。

※あくまで簡易的なモデルのシミュレーションです。LTSPICEで行います。

コンデンサ0.1uFに終端抵抗が50Ωの組み合わせで波形確認・周波数特性を確認します。

 

出力箇所(HDMIコネクタ箇所)のシミュレーション波形を確認してみます。

特に減衰などなく、25MHzの画像信号が正常に出力されていることが分かります。

 

HDMIを模した回路で周波数特性も簡易的にシミュレーションしてみます。

 

周波数特性を確認しても25MHz以上の周波数帯域は問題なく通過することが分かります。

カットオフ周波数は「f = 1/2πRC = 1/2π(50Ω)(0.1uF) ≒ 32kHz」となります。

 

高速信号のシミュレーションは難しい

今回コンデンサ容量を変更したシミュレーションも実施してみました。

但し、単純にコンデンサ容量を減らすと辻褄が合わない部分も出てきました。

HDMIのオープンコレクタの電流ドライバが簡易的過ぎて駄目だったと思います。

 

シミュレーション結果はあくまで参考レベルとしてお願いします。

(色々と試した、自分への忘備録として残しておきます。)

本格的に高速信号のシミュレーションしたい場合は専用ソフト・モデルが必要だと思います。

 

あと題材が悪かったです。DC結合もあり得るHDMI回路を選んでしまった…

ただPCI Expressだと各ICで推奨の結合方法が変わってくるし、紹介するには難しい箇所です。

高速信号のシミュレーションは奥が深いです。(というか筆者レベルでは上手く説明できない…)

 

コンデンサ容量を0.01uF(10nF)にして確認

先述した通りコンデンサ容量を減らすほどカットオフ周波数が高くなり、問題となります。

コンデンサ容量を1桁減らした場合も確認しておきます。

ACカップリング回路のコンデンサ容量を0.1uF(100nF)→0.01uF(10nF)で試してみます。

 

シミュレーションしてもHDMIコネクタ箇所から25MHzが出力されています。

特に0.1uF(100nF)→0.01uF(10nF)された影響はほぼありませんでした。

 

周波数特性も確認しましたが、カットオフ周波数は計算通り約320kHzとなります。

(f = 1/2πRC = 1/2π(50Ω)(0.01uF) ≒ 320kHz)

25MHzの信号はそのまま通過する形になります。

 

コンデンサ容量を0.1nF(100pF)にして確認

ACカップリング回路のコンデンサ容量を0.1uF(100nF)→0.1nF(10pF)で試してみます。

カットオフ周波数の周波数は約32MHzとなります。(f = 1/2πRC = 1/2π(50Ω)(0.1nF) ≒ 32MHz)

25MHzの周波数の信号は減衰する形になります。

 

ですがシミュレーションを実施すると、綺麗に25MHzが出力されています。

なぜかと思い、ACカップリング前の入力波形からおかしなことになっています。

 

今回のモデルではACカップリング回路の細かいシミュレーションが難しい様子です。

電流ドライバだけでは出力インピーダンスがないためか?少し筆者では分からずです。

 

CML回路でシミュレーションしてみる

HDMI(TMDS)はどちらかというと特殊な回路で、高速信号のIFはCML型が多いです。

Displayport,PCI Expressなども基本的にはCML型回路です。

CML型ならば出力インピーダンスがある形になります。こちらのモデルにして再度試してみます。

 

電流源を修正して、回路の電圧レベルはあくまでHDMIベースで実施しています。

CML型回路でACカップリングコンデンサが0.1uF(100nF)と適切な場合は下記波形です。

ACカップリング前後で25MHzを確認できています。

 

CML型回路でコンデンサを1桁落とした場合の0.01uF(10nF)の波形が下記です。

若干オフセット電圧が動いていますが、波形としては25MHzの方形波となっています。

 

CML型回路でコンデンサを3桁落とした場合の0.01uFの波形が下記です。

ACカップリング後の波形が減衰されていることがわかります。

カットオフ周波数が約32MHzのため、25MHzの波形は減衰された結果になりました。

 

コンデンサを4桁小さい0.01nF(10nF)だと波形がさらに減衰される形になります。

コンデンサ容量を減らすとACカップリングの波形に影響でることが確認できました。

(現実の回路と違う形になったため、正直どこまで意味があるかは微妙ですが…)

 

ACカップリングのコンデンサ容量を変えた波形を測定してみる

シミュレーションでの確認が終えたので、波形を測定していきます。

25MHz程度の信号ならば下記記事のようにFPGAを使えば簡単に出力が可能です。

FPGAのPLLの使い方!ロック信号と一緒にクロック出力してみた
FPGAのPLLを使えば任意の周波数のクロックが出力可能です。 実際に分周したクロックをロック信号と一緒にオシロスコープで確認してみました。 PLLのIPの設定方法からFPGAのピン設定まで分かりやすく紹介します。

 

しかし家庭の環境だと25MHzの信号でコンデンサ容量を変えた測定はやはり無理がありました。

25MHzで影響あるACカップリングのコンデンサ容量だとpF単位になるためです。

 

一度10pFのコンデンサを付けて測定しましたがNGでした。

ブレッドボード・リード線・プローブなどで余計なLCR成分が混ざってしまう結果でした。

波形も確認したのですが、シミュレーションの形とは大きくずれた形となっていました。

 

ACカップリングで減衰されやすい周波数を使う

高速信号(MHz,GHz)の測定はあきらめ、今回は100Hzの遅い周波数の信号で確認します。

25MHz→100Hzに落とせばカットオフ周波数に引っ掛かかりやすくなります。

0.1uFと50Ωの周波数特性を確認しますと、100Hzならば十分に減衰します。

 

100Hzの信号でACカップリングのコンデンサ容量を変更して測定してみます。

0.1uF,1uF,10uF,470uFに変えて確認します。(抵抗は50Ω固定です)

 

ラズベリーパイで100Hzを出力する

100Hz程度ならばPythonとラズベリーパイ(raspberry pi)で簡単に方形波が作れます。

※正確に言うと微妙な誤差は発生しますが、テストレベルのため楽しています。

 

ラズパイにはデフォルトでPythonがインストールされており、誰でも簡単に使用できます。

初心者の方でも大丈夫です。下記記事で使い方を紹介しています。(リンク先はこちら)

ラズベリーパイでプログラミング入門!Pythonの簡単な始め方
プログラミングを始めたい方にラズベリーパイを使った簡単な入門方法を紹介します。 プログラミング言語の中でも初心者にもやさしく、人気なPythonがラズパイならば簡単にスタートできます。 ラズベリーパイでプログラミング入門!Pytho...

 

ラズパイのGPIOから一定周期(100Hz)でON/OFFする簡単なプログラムです。

下記のようにPythonで10数行で簡単に作成可能です。

 

下記の紹介するコードをそのまま貼り付ければ動作します。

 

ACカップリング回路とオシロスコープを用意する

実際にACカップリング回路を測定できる環境を整えていきます。

ACカップリング回路はジャンパー線とブレッドボードで接続します。

コンデンサ・抵抗は市販の電子工作の部品セットのものを使用しています。

 

今回のテスト回路では下記の単純なACカップリング回路にしています。

テスト環境・回路構成としては、下記記事で紹介したハイパスフィルターと同様です。

ハイパスフィルターとローパスフィルターの違いを波形で確認してみた

 

実際のテスト回路でのオシロスコープ・プローブの接続は下記となります。

「CH1_ACカップリング前」「CH2_ACカップリング後」となっています。

 

オシロスコープの使い方に関しては下記記事でまとめています。(リンク先はこちら)

オシロ1台で趣味の電子工作の幅が一気に広がりますので、ぜひ一緒にご覧ください

オシロスコープの使い方!初めての人向けに多くの測定事例を紹介
オシロスコープの使い方を一から紹介します。 電源の入れ方からトリガーのかけ方までを写真・動画交えて分かりやすく説明します。 初心者の方でも簡単にオシロを使った測定方法を学ぶことができます。

 

ACカップリングのコンデンサ容量を変えた波形を測定する

冒頭でも紹介しましたが、実際の測定の様子を下記動画でも紹介してます。

ACカップリングのコンデンサ容量を変えると波形結果が変わる様子が分かりやすいです。

是非一緒にご覧ください。

AC結合のコンデンサ容量の影響を確認してみた

 

コンデンサ容量を470uとした場合

コンデンサ容量が470uFと大きく、カットオフ周波数が約6.8Hzとなっています。

(f = 1/2πRC = 1/2π(50Ω)(470uF) ≒ 6.8Hz)

100Hzの信号はACカップリングをそのまま通過している波形となります。

 

コンデンサ容量を10uとした場合

コンデンサ容量が10uFとした場合、カットオフ周波数が約318Hzとなっています。

(f = 1/2πRC = 1/2π(50Ω)(10uF) ≒ 318Hz)

100Hzの信号はACカップリングで低周波帯の成分が減衰されている波形となります。

 

コンデンサ容量を1uとした場合

コンデンサ容量が1uFとした場合、カットオフ周波数が約3.2kHzとなっています。

(f = 1/2πRC = 1/2π(50Ω)(1uF) ≒ 3.2kHz)

100Hzの信号はACカップリングでほとんどが減衰されている波形となります。

 

コンデンサ容量を0.1uとした場合

コンデンサ容量が0.1uFとした場合、カットオフ周波数が約32kHzとなっています。

(f = 1/2πRC = 1/2π(50Ω)(0.1uF) ≒ 32kHz)

100Hzの信号はACカップリングでほぼ消えている形となります。

 

まとめ

今回はACカップリングのコンデンサ容量に関して紹介させていただきました。

記事をまとめますと下記になります。

高速信号のACカップリングでは0.1uF(100nF)がよく使われています
ACカップリングされる周波数がカットオフ周波数に近いと減衰します

 

ACカップリングは今回使用したオシロスコープのRIGOL DS1054Zの機能にもあります。

ACカップリングとDCカップリングの設定を間違えると測定に大きな影響が出ます。

下記記事で紹介しています。是非一緒にご覧ください。

AC結合とDC結合の違いをオシロスコープで確認してみた
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