ラズベリーパイ(raspberry pi)で絶縁して安全に24VリレーをON/OFFしたく、フォトカプラで回路を作ってみました。LTspiceのシミュレーション・実際に動作確認したのを記事にしています。
raspberry piはトランジスタだけでも24Vリレー動作は可能だが…
ラズベリーパイ(raspberry pi)のGPIOは基本3.3Vです。5V/12V/24Vは直接駆動できず、24Vリレーも直接は動作できません。
そのため以前記事ではトランジスタ2SC1815-GRを下記イメージのようにトランジスタを使って24Vをドライブさせていました。
その際の記事は下記リンク先からご覧ください
リレーのON/OFF時にはサージが発生するので危険
しかしリレーはコイルでON/OFF時する際に貯めたエネルギーが逆起電力となりサージが発生します。
そのためトランジスタだけで接続すると24VリレーON/OFF時のサージ等が原因でラズベリーパイのGPIO端子が故障する可能性が出てきます。
以前筆者も昇圧型DCDCモジュールでリレーを動かしていましたが、おそらくサージが原因で一つ壊しました。その際の記事は下記リンク先からお願いします
raspberry piをフォトカプラで絶縁する
そのため、今回はフォトカプラを使って安全に24VリレーをON/OFFをしていきます。フォトカプラで絶縁すればラズベリーパイ(raspberry pi)側にサージが入ってきませんので安全です。
今回は手軽に購入できるフォトカプラで上記回路を検討して、LTSPICEによるシミュレーション・実動作確認まで行っていきます。
フォトカプラ PC817を選んでみた
今回使うフォトカプラはPC817です。非常に安く購入でき、ネットでも多く出回っているので選択しました。10個入りで数百円で購入できます。
PC817はDIP品ですのでブレッドボードへの挿入も簡単で電子工作にピッタリです。
今回はPC817を使って24Vリレーを動かせるように回路検討をしていきます。
フォトカプラだけで回路設計できるか確認してみた
まずはフォトカプラだけで今回使う24Vリレー(ミニパワーリレーMY4 DC24)を動かすのに必要なスペックを持っているかを確認する必要があります。
フォトカプラPC817だけで24Vリレーは駆動できるか確認
まず最低限、下記2つの両方OKでないとフォトカプラPC817だけでは回路が作れません。(他にも順電流・経年劣化・CTR(電流伝達率)など多くのことを検討する必要がありますが、今回はデバッグレベルのため省略)
①コレクタ-エミッタ間で24Vの「電圧」はOKか?
②コレクタ-エミッタ間で36.3mAの「電流」はOKか?
データシートを見て確認していきます。PC817のデータシートはネットで出回っていますので参照をお願いします。(筆者が確認したリンク先はこちら)
24Vのコレクタ-エミッタ間の電流を駆動できない
はい、結果はNGです。
コレクタ損失(Pc)の絶対最大定格が150mWのため、24V駆動のときは電流は最大(Max)でも150mW/24V=6.25mAまでしか流せません。(リレーに必要な36.3mAに足りないので)NGです
※データシートのVCE-ICEの関係性のグラフが見やすいかと思います。(先ほどのリンク先のデータシートだと「Fig.8 光電流-コレクタエミッタ間電圧」)
LTSPICEでフォトカプラだけでは設計上NGを確認する
フォトカプラPC817だけで24Vリレーが本当に動かないのか一応LTSPICEのシミュレーションでも確認してみます。
ラズベリーパイのGPIOをON/OFFして、24VリレーもON/OFFするかの内容です。
コレクタの電圧(青色)・電流(赤色)を確認したところ、コレクタで(24V⇒0Vと)リレーON/OFF出来ていない回路であることが分かります。
※フォトカプラの入力側のR2の抵抗値を下げることで改善はします。(フォトカプラの順電流が増える⇒コレクタに流せる電流も増えるため)
しかしラズベリーパイのGPIOの最大(Max)16mA程度流しても24V駆動できるかギリギリと言ったところでしたのでフォトカプラ単体での駆動はやめておきます。
フォトカプラ+npnトランジスタで回路設計する
フォトカプラ単体ではNGでしたのでトランジスタで電流を流せるように対応します。今回使うトランジスタはnpnトランジスタの2SC1815-GRです。
過去には実際にトランジスタの電流増幅率を測定した記事もありますのでよろしければご覧ください
今回のnpnトランジスタ2SC1815GR の使い方
今回はnpnトランジスタ2SC1815-GRをフォトカプラとリレーの間に噛まして電流増幅してもらいます。これでリレーの方に流れる電流は数十mA(36.3mA)対応できます
簡単にトランジスタの回路が正しいか計算する
シミュレーションもしますが簡易的な回路検討としては下記イメージです。(本来、順電流・経年劣化・CTR(電流伝達率)などのこともありますが今回はデバッグレベルのため省略)
①2SC1815-GRのVBEを0.7Vとする
②ベースに流れる電流の制限抵抗(R3:10kΩ)に掛かる電圧は23.3V/10k=2.33mA
③ベースに流れる電流は23.3V/10kΩ=2.33mA
④2SC1815-GRの電流増幅率を350として、コレクタに流れる電流は2.33mA×350=815.5mA以内ならばOK
トランジスタの電流増幅率の計算例に関しては、下記記事でも計算しましたのでよろしければ参考にしてみてください
今回は特には問題なさそうですのでシミュレーションをしてみます。
LTSPICEで24VリレーがON/OFFできているか確認する
ではLTSPICEで回路シミュレーションをしていきます。先ほどフォトカプラ単体では24VリレーがON/OFFできなかったですが、今回は問題ないことを確認してきます。
2点ほど視点を絞って確認していきます
ラズベリーパイとフォトカプラの絶縁箇所をシミュレーションする
まずはラズベリーパイとフォトカプラの絶縁箇所で問題なくON/OFFされていることを確認します
シミュレーション結果は下記です。「ラズベリーパイ側が緑」で「24Vリレー側が赤色」です。フォトカプラで絶縁してON/OFFできていることが確認できました。
フォトカプラとトランジスタのシミュレーションする
フォトカプラからのON/OFF信号でトランジスタが24Vリレーをドライブできていることを確認します
シミュレーション結果は下記です。今回は電流増幅されていることも分かるように電流で測定しています。(「ベース箇所の電流が赤色」「コレクタ箇所の電流が青色」としています)
これでシミュレーションとして問題ないことを確認できました。
フォトカプラとトランジスタで24Vリレーを動かした構成
今回実際に動かしたデバッグ環境の全体写真は下記となっています。
フォトカプラとトランジスタ2SC1815-GRの箇所をアップした写真が下記です。ブレッドボードで全て接続できます。
「入力・リセットSW」・「ラズベリーパイのGPIOを動かしたソフト」などについては下記記事の内容と同じですので詳細は省略します。
また24V電源に関しては下記記事で使ったものを流用しています
raspberry piとフォトカプラ・トランジスタの回路図
またラズベリーパイなどフォトカプラ・トランジスタ以外も含めた今回の回路図は下記形となっています。GPIO17からフォトカプラをONさせます。
フォトカプラの実例・動作・動画
今回のプログラム動作開始時(SW1を押していない状態)ではフォトカプラは動作していません。24VリレーもOFF状態です。
入力SWを押すとラズベリーパイからGPIO出力されて、フォトカプラをONしにいきます。24Vリレー動作が分かるように赤色LEDを付けています
リセットSWを押すとラズベリーパイからのGPIOがOFFされてフォトカプラ・リレーともにOFFされます
無事にフォトカプラで24Vリレーを動作させることができました。今回の動画は下記です。
動画だと「LEDのON・OFF」「24VリレーのON・OFF音」がありフォトカプラの動作しているタイミングが分かりやすいと思います。
まとめ・感想
如何でしたでしょうか。ラズベリーパイをフォトカプラで絶縁することで安全に24Vリレーを動作することができました。
よろしければ皆様もぜひトライしてみてください
次の記事ではシーケンス制御を勉強していく上で筆者が一番おススメな本・参考書を紹介しています。よろしければご覧ください
コメント
24V駆動のときは電流は最大(Max)でも150mW/24V=6.25mAまでしか流せません。
==>考え方が間違いで,フォトカプラがONしているときはCE間に24Vかかっていないから6.25mAより大きい電流が流せます。とはいえ,Fig.8で36mA駆動するのにIF=30mAも流さないといけないしVCEも4Vもあるから,この条件で使うというのも現実的でなく,トランジスタを一段かますのは妥当な設計だとは思います。
正に今の自分が必要としているものがこれでした。ラッチングリレーを動作させる信号の送信側を壊してしまったので対策を苦慮していました。
サージ対策としてダイオードを接続する方法を教わりました。これについての記述の追加を期待します。
実験するために部品類をAmazonから購入するリンクがあるので大変助かります。早速実験してみようと思いました。ありがとうございます。