ツェナーダイオードの定電圧回路の使い方を確認してみた

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オシロスコープ

ツェナーダイオードを使って、一番簡単な定電圧回路作ってみました。

簡単に任意の電圧を作ることが可能です。

原理通り動作しているか、実際にオシロスコープで確認しています。

 

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ツェナーダイオードの定電圧回路の使い方を確認してみた

ツェナーダイオード1個と抵抗1個で、簡単に定電圧回路を作ることが可能です。

実際にツェナー電圧(VZ)=10V品を使って、オシロスコープで確認してみました。

 

可変の24V電源から10Vの定電圧が取り出せることを確認しています。

 

実際のテスト動画は下記となります。

電源電圧を変えてもツェナーの定電圧回路は一定であることがよく分かります。

 

ツェナーダイオードの使い方

ツェナーダイオードは定電圧回路として、またサージ対策部品としてよく使われています。

今回の記事では定電圧回路の使用例を紹介していきます。

 

またサージ対策の使用例としては下記記事で紹介しています。(リンクはこちら)

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ツェナーの種類

ツェナーダイオードの種類・型番によっては、ツェナー電圧(VZ)が異なるので注意が必要です。

今回使用したツェナの型番は不明です。ツェナーダイオードのセットのものです。

(購入したセットは各ツェナー電圧(2V,2.2V,2.7V…30V)が各10本入っていました)

 

今回はVZ(ツェナー電圧)が10Vのものを使用しています。

VZが10Vを使用した理由は、可変の24V電源の電圧と比較しやすかったためです。

実際に定電圧回路で使う際は、必要なツェナー電圧のダイオードを用意お願いします。

 

上写真のようにLCRメータを使えば、ツェナー電圧も測定することが可能です。

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ツェナーの定電圧回路のテスト

今回は電源電圧を変動しても、ツェナーの定電圧回路は一定であることをテストします。

オシロスコープで「可変する24V電源」と「定電圧回路」を測定します。

 

使用した可変の24V電源は下記記事で紹介した、USB5Vから昇圧する電源です。

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電源は最初5V出力ですが、電圧調整をして24V出力にします。

ツェナーの定電圧回路は5V→10Vの定電圧になるはずです。

 

実際のテスト回路としては下記形です。

今回は無負荷のため、制限抵抗は一旦大き目に1kΩを接続しています。

 

冒頭でも紹介しましたが、動画でも紹介しています。是非一緒にご覧ください。

電源電圧を変えてもツェナーの定電圧回路は一定であることがよく分かります。

 

テスト結果の波形としては下記形のように、ツェナーの定電圧(10V)を確認できました。

電源電圧が10Vを超えて可変しても、定電圧回路は10Vで固定されています。

 

ツェナーの定電圧回路にトランジスタを使う理由

今回は一番簡単な定電圧回路を作りましたが、基本的には少ない電流しか流せません。

使う素子・乗数によりますが、負荷への電流は数mA~数十mA程度が限界と思われます。

大きな電流を流したい場合はトランジスタなどが必要になります。

 

定電圧回路をシミュレーション

制限抵抗とツェナーだけでは電流が流せない理由をシミュレーションで少し確認します。

シミュレーションソフトはLTSPICEを利用します。

ツェナーに関してはLTSPICEにデフォルトである部品(VZ≒10V)を仮で置いています。

 

無負荷の場合

無負荷の場合はツェナーに電流が流れるだけです。

計算も簡単です。大体の計算で(V-VZ)/R=(24V-10V)/1kΩ=14mAとなります。

 

定電圧回路の出力としても約10Vがシミュレーション結果で出てきます。

ツェナーに流れる電流も約14mAで計算と合っていました。

 

負荷に10mAは流せる

例えば今回の回路で1kΩの負荷を付けると約10mAが流れます。

(VZ≒10Vで並列にある負荷も10Vになるため、I=V/R=10V/1kΩ=10mAの計算です。)

 

定電圧回路の出力としても約10Vがシミュレーション結果で出てきます。

負荷に流れる電流も約10mAで計算と合っています。

 

負荷に100mAは流せない

もし負荷に100mAを流そうとしても、制限抵抗(1kΩ)があるため流せません。

今回の回路で流せる電流としては最大でも(大まかな計算で)約20mA程度です。

  • 仮に制限抵抗の後を無視してもI=24V/1kΩ=24mA
  • 更にツェナーのVZの逆方向電流分(数mA)も確保する必要がある

 

仮に負荷を100Ωを接続したシミュレーションをしてみました。

定電圧回路でツェナー電圧分の10Vが出力されない結果となります。

ツェナーに流れる電流(水色のI(D1))もほぼ0mAとなり、ツェナー電圧が出力できません。

 

トランジスタで電流は流せるが設計が必要

制限抵抗を小さくすれば、電流は多少流せるようにはなります。

但し今度は制限抵抗の容量(W)を確保する必要がありますので、すぐに頭打ちになります。

そのため、定電圧回路で大電流を流したい場合はトランジスタ(FET)を使う場合が多いです。

 

出力電圧としては、大まかにVo=VZ-Vbeで計算できます。

適当に汎用のnpnトランジスタ(2N9304)を追加してシミュレーションしてみました。

(Vbe分は電圧落ちましたが)約10Vの出力電圧で約100mAが出力できています。

 

ツェナーダイオードにトランジスタを加えた定電圧回路がLDO回路と呼ばれます。

但しトランジスタ・ダイオードの許容電力、電流増幅率など考慮した設計が必要になります。

 

下記記事でも紹介しましたが、ツェナーダイオードは使い方を誤ると故障します。

許容電力損失を超えると熱で壊れますので、しっかり設計する必要があります。

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まとめ

今回はツェナーダイオードの定電圧回路に関して紹介させていただきました。

記事をまとめますと下記になります。

ツェナーダイオードの定電圧回路は簡単に作れます

制限抵抗とツェナーだけの定電圧回路では少ない電流しか流せません

トランジスタを使うことで電流を増やせますが、設計が必要です(LDO回路)

 

ツェナーダイオードのセットは定電圧回路、サージ対策にも多くの場面で使えます。

ハードウェアの勉強や趣味・工作にも役立ちます。是非皆さまも試してみて下さい。

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