車載やスマートフォンのディスプレイに使われているMIPI DSIを調べてみました。
最新の仕様書は個人ではダウンロードできませんが、ドラフト版ならば入手可能です。
実際に測定した波形含めて詳しく紹介します。
MIPI DSIの仕様を調べてディスプレイの波形を確認してみた
ラズベリーパイのMIPI DSI接続のディスプレイを購入してみました。
そしてMIPI DSIの仕様を調べて、オシロスコープで波形測定まで実施しています。
MIPI DSIの正式な規格書は有料かつ企業の登録が必要で、個人での入手が難しいです。
しかし、ドラフト版やメーカのデータシートからある程度は仕様を把握できます。
把握できた情報からディスプレイの画像情報の波形を確認してみました。
役に立った情報元、実際に測定した波形含めて説明していきます。
また今回使用しているMIPI DSIのディスプレイは下記記事で紹介しています。
非常にコンパクトで使い勝手の良いディスプレイです。(リンク先はこちら)
MIPI DSIはCSI-2と同じ電気的仕様
ディスプレイIFのMIPI DSIの電気的仕様を決める物理層はMIPI D-PHYと呼ばれています。
波形測定する上での特性が記載されているのはMIPI D-PHYとなります。
カメラIFで有名なMIPI CSI-2も同じ物理層のMIPI D-PHYということです。
カメラIFのMIPI CSI-2、また物理層のMIPI D-PHYの仕様を調べた記事が下記になります。
ぜひ合わせて一緒にご覧ください。(リンク先はこちら)
MIPI DSIの規格書
MIPI DSIは名前の通り、ディスプレイ向けのIFです。
- MIPI…Mobile Industry Processor Interface
- DSI…Display Serial Interface
MIPI DSIも規格書のダウンロードはドラフト版が可能
MIPI DSIも公式の規格書は企業向けとなっており、一個人ではダウンロードできません。
MIPI Display Serial Interface (MIPI DSI)
但し、MIPI DSIの方も2008年度の古いドラフト版はネットにありました。
2020年11月現在では無料でダウンロード可能です。
DRAFT MIPI Alliance Standard for DSI - Caxapa
MIPI DSIのディスプレイ
MIPI DSIのディスプレイを購入したい場合は、ラズパイ用が一番簡単に入手しやすいと思います。
筆者もラズパイ専用のタッチパネル搭載のディスプレイを購入しました。
画像・タッチパネル・電源が一本のケーブルで済み、コンパクトな点が大きなメリットです。
見栄えが良く、タッチパネルが効くラズパイ専用のディスプレイ設置に最適です。
ラズベリーパイならば特に設定必要無しで、MIPI DSIのディスプレイを動作できます。
専用のソフト・ドライバーなども必要なく、電源ONするだけでMIPI DSIが動作します。
冒頭でも紹介しましたが下記記事で詳細に紹介しています。(リンク先はこちら)
ラズベリーパイのMIPI DSIのディスプレイを購入してみた
MIPI DSIのラズベリーパイでのピン配置
MIPI DSIは差動信号で画像用のデータとクロックを送信しています。
MIPI DSIのレーン数
ラズパイのMIPI DSIとしてはデータ_2レーン、クロック_1レーンとなっています。
(規格上では最大データ_4レーン、クロック_1レーンです。)
MIPI DSIのコネクタのピン配置例
ラズベリーパイのディスプレイIFとしてのコネクタピン配置は下記です。
MIPI DSIの差動ペアとペアの間にGNDを挟む形でガードしています。
MIPI DSI以外にも電源やタッチパネル用のI2Cなどの信号も入っている形です。
- 2ピン…DSI1_DN1
- 3ピン…DSI1_DP1
- 5ピン…DSI1_CN
- 6ピン…DSI1_CP
- 8ピン…DSI1_DN0
- 9ピン…DSI1_DP0
- 11ピン…SCL0
- 12ピン…SDA0
- 14,15ピン…3V3
- 4,7,10,13ピン…GND
30ピンのコネクタですが、半分の16~30ピンは使用していない形(NC_未接続)でした。
ラズベリーパイの回路図の調べ方に関しては下記記事で紹介しています。(リンク先はこちら)
MIPI DSIの波形をオシロスコープで確認する
今回はラズベリーパイを電源ONしてディスプレイ出力中の波形を測定します。
MIPI DSIのディスプレイの解像度は800x480です。
MIPI DSIの波形測定は個人の環境では難しい
今回MIPI DSI(MIPI D-PHY)を測定してみましたが、一部しか確認できていません。
最大で数Gbpsの高速通信で、差動信号100Ωの測定は個人の環境では難しいです。
周波数帯域・インピーダンスが合っていないため正確な測定は無理です。
筆者の個人のオシロスコープは周波数帯域50MHzのエントリーモデルです。
この環境だと以前に下記記事でUSB2.0(480Mbps)でも測定が難しい旨を紹介していました。
オシロスコープの周波数帯域を超えての測定はNG?実際に確認してみた
但し、MIPI DSIでも「通信が遅いモード」「差動100Ωが切り替わり」があります。
個人のオシロスコープでも測定できる箇所を確認していきます。
(あくまで参考扱いのレベルの波形ということでお願いします。)
MIPI DSIの波形測定した箇所
MIPI DSIを波形確認する際はコネクタのピンで測定しています。
本来は差動信号用の「差動プローブ」を使うべきですが、高価で個人では購入が難しいです。
今回は普通のパッシブの10:1プローブで測定していきます。
MIPI DSIのパケットを確認してみる
測定結果ですが、今回のディスプレイ動作中にデータ1(D*1)からは出力されていませんでした。
「クロック」と「データ0」のみでディスプレイ出力していたことになります。
解像度が800x480ぐらいだとデータ1本で画像出力が出来るようです。
「データ1」は低消費電力のLPモード(電圧レベル…Typ_1.2V)で常にHi状態でした。
「データ0」は低消費電力(LP)モードと高速通信(HS)モードを繰り返していました。
「データ0」に画像情報のパケットがありそうです。
「クロック」は画像出力中は常にHS(高速通信モード)で差動通信をしていました。
MIPI DSIのVideo mode
(※正直ここより下の波形の考察はあまり自信が無いです…。申し訳ありません)
MIPI DSIには2つのモード「Command Mode」「Video Mode」があります。
今回はディスプレイ出力中の波形を測定していますので、基本的には「Video Mode」のはずです。
おそらく高速通信(HS)モードが多く占めている箇所で画像のRGBのパケットがいると思われます。
更にアップしたのが下記波形です。
HS長い時間を占めているのがRGB箇所で、その前後にHSyncなどの同期信号かと思います。
MIPI DSIのBurstとNon-Burst
「Video Mode」の中でも3つの送信モードがあります。
- Non-Burst Mode with Sync Pulses(非バーストで同期パルス使用)
- Non-Burst Mode with Sync Events(非バーストで同期イベント使用)
- Burst mode(バースト)
画像データを一気に送るバーストモードもあるようです.
ただラズパイがどのモードを実施しているのか正直筆者の調査力では不明でした。
まとめ
今回はMIPI DSIの規格・波形の一部を紹介させていただきました。
記事をまとめますと下記になります。
同じ物理層のカメラIFであるMIPI CSI-2も同様に測定しています。
電圧レベル含めて電気的仕様はMIPI DSIと同じです。
参考になると思いますので、是非一緒にご覧ください。(リンク先はこちら)
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