ハイパスフィルターとローパスフィルターの違いを比較してみました。
実際に回路を作り、オシロスコープで波形を測定しています。
フィルター前後で周波数特性がどのように変わるのか分かりやすく紹介します。
ハイパスフィルターとローパスフィルターの違いを波形で確認してみた
ハイパスフィルターとローパスフィルターの両方の回路を作り、波形を確認しました。
ハイパスフィルターの波形は高周波数帯域の信号だけを通します。
方形波を入れた場合、立ち上がり・立ち下がりのみに反応する尖ったような波形です。
黄色が元々の100Hzの方形波、青色がハイパスフィルター後の波形です。
ローパスフィルターの波形は低周波帯域の信号のみを通します。
方形波を入れた場合、立ち上がり・立ち下がり箇所は緩やかな波形となります。
高周波数帯域は減衰(カット)される形となりました。
フィルターの原理含めてシミュレーションと実際の波形を紹介していきます。
下記動画でもハイパスフィルターとローパスフィルターの違いを説明しています。
実際のオシロスコープでの測定の様子も分かりますので、ぜひ一緒にご覧ください。
ハイパスフィルターとは
ハイパスフィルターとは下記のようなC(コンデンサ)とR(抵抗)で構成されます。
CR回路・微分回路とも呼ばれます。
ハイパスフィルターは名前の通り、高い(ハイ)周波帯域の信号のみ(パス)通します。
低い(ロー)周波数帯域の信号はカットします。
ローパスフィルターとは
ローパスフィルターの回路もR(抵抗)とC(コンデンサ)で構成されています。
ハイパスとはRとCの位置が逆になっているだけです。RC回路・積分回路とも呼ばれます。
ローパスフィルターが実際の波形にどのように影響するかを簡単に説明します。
ローパスフィルターを周波数解析すると下記のような結果となります。
低い(ロー)周波数は通しますが、高い(ハイ)周波数はカットします。
ローパスフィルターの詳細・仕組みに関しては下記記事で紹介しています。
フィルターの特性が抵抗・コンデンサの値でどう変わるのか含めて説明しています。
是非一緒にご覧ください。(リンク先はこちら)
ハイパスフィルターとローパスフィルターの回路を作る
ハイパスフィルターとローパスフィルターは市販の電子工作の部品セットで簡単に作れます。
今回は抵抗1kΩとコンデンサ1uFを使います。
回路図どおりブレットボードに接続することで簡単に回路ができます。
ハイパスフィルター(CR回路)の場合は下記のように繋げれば大丈夫です。
ローパスフィルター(RC回路)は下記形です。
回路図通りハイパスフィルターの抵抗とコンデンサの配置を逆にするだけです。
フィルターの効果をテストできる環境構築
実際にハイパスとローパスフィルターの効果をテストできる環境を整えていきます
今回はラズベリーパイとオシロスコープと使って測定していきます。
オシロスコープの使い方に関しては下記記事でまとめています。(リンク先はこちら)
オシロ1台で趣味の電子工作の幅が一気に広がりますので、ぜひ一緒にご覧ください
ラズベリーパイでクロック(方形波)を出力する
ラズベリーパイを使う理由はフィルターに通す信号を簡単に出力するためです。
100Hz程度ならばPythonとラズパイで簡単に方形波が作れます。
※正確に言うと微妙な誤差は発生しますが、テストレベルのため楽しています。
ラズパイにはデフォルトでPythonがインストールされており、誰でも簡単に使用できます。
初心者の方でも大丈夫です。下記記事で使い方を紹介しています。(リンク先はこちら)
ラズパイのGPIOから一定周期(100Hz)でON/OFFする簡単なプログラムです。
下記のようにPythonで10数行で簡単に作成可能です。
下記の紹介するコードをそのまま貼り付ければ動作します。
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#!/usr/bin/env python # -*- coding: utf-8 -*- import RPi.GPIO as GPIO import time GPIO.setmode(GPIO.BCM) GPIO.setup(17,GPIO.OUT) for i in range(1000): GPIO.output(17, True) time.sleep(0.005) GPIO.output(17, False) time.sleep(0.005) GPIO.cleanup() |
実際にGPIOをオシロスコープで確認すると大体100Hzの方形波が確認できます
フィルターの前後にプローブを接続する
ハイパス・ローパスフィルターの前後での波形差を見れるようにします。
オシロスコープからのプローブを接続すればテスト環境の完成です。
ハイパスフィルターとローパスフィルターの波形を比較する
ハイパスフィルターとローパスフィルターを測定した結果を紹介していきます。
冒頭でも紹介しましたが、動画で見ると測定の様子が分かりやすいです。是非一緒にご覧ください。
ハイフィルターの波形
ハイパスフィルターの測定結果です。
「黄色…ハイパスフィルター前」「青色…ハイパスフィルター後」の波形です。
ハイパスフィルター後は高周帯域の信号のみが通過して、波形が尖っている結果です。
LTSPICEのシミュレーションでも同じ結果です。
ハイパスフィルター後は、立ち上がり・立ち下がり箇所のみが尖る形となります。
ハイパスフィルターの周波数成分
ハイパスフィルター前後の波形をFFTして周波数成分を確認してみます。
フィルター前だと低周波帯の箇所でピークがあることが分かります。
ハイパスフィルター後の波形が下記になります。
低周波帯にあったピークが下がっています。
ハイパスフィルターにより減衰(カット)されていることが分かります。
ローパスフィルターの波形
ローパスフィルターの測定結果です。
「黄色…ローパスフィルター前」「青色…ローパスフィルター後」の波形です。
ローパスフィルター後は高周帯域がカット(減衰)され、波形がなまっている結果です。
LTSPICEでのシミュレーションでも同じ結果がでています。
ローパスフィルター後は立ち上がり・立ち下がりがなまった波形となります。
ローパスフィルターの周波数成分
ローパスフィルター前をFFT(周波数解析)した結果が下記となります。
高周波帯の箇所でピークがあることが分かります。
ローパスフィルター後のFFTの結果が下記となります。
高周波帯にあったピークがローパスフィルターにより下がっています。
まとめ
今回はハイパスフィルターとローパスフィルターの違いに関して紹介させていただきました。
記事をまとめますと下記になります。
フィルターの効果を最大限活かすには抵抗・コンデンサの値も重要となります。
下記記事では抵抗の値を変えて、カットオフ周波数をずらした波形も確認しています。
ぜひ一緒にご覧ください。(リンク先はこちら)
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