PoEスプリッターを使ったPoE給電を確認してみました。
分離された「USBの5Vの電圧」と「通信速度」が問題ないかをテストしています。
PoEスプリッターのメリットとデメリットを分かりやすく紹介します。
PoEスプリッターでUSBの5Vを給電してみた
PoEスプリッターの「USBの5Vの電圧」と「通信速度」を測定してみました。
分離(変換)されたUSB5Vの電圧が問題ないことをテスターで確認しました。
PoEスプリッターにより5.09Vが作られていることが分かります。
もちろん通信速度も問題有りませんでした。ギガビットイーサの速度を確認できています。
結論として、PoEスプリッターで分離された「給電」と「通信」は安定していました。
テストでの確認内容・詳細について紹介していきます。
PoE給電の詳細・仕組みに関しては下記記事で説明してます。(リンク先はこちら)
PoEスプリッターとは
PoEスプリッターではPoE給電中の「給電」と「通信」を分離することが可能です。
LANケーブル1本に集約されていたものを再度分けて個別に使用可能です。
PoE給電では48Vが給電されますが、基本的にPoEスプリッター内で電圧変換されます。
汎用的な電圧である24V/12V/5Vを出力するケースが多いです。
下記写真ではPoEスプリッターの入力電圧が48Vであることを確認しています。
PoEスプリッターは下記仕様の違いで多くの種類があります。
- 変換される電圧(24V,12V,5V出力)
- 分離する電源コネクタ(TypeC,MicroB,DCジャック…など)
- 通信速度(~100Mbps,~1000Mbps)
筆者が購入したのは「5V」「Type-Cコネクタ」「~1000Mbps」のPoEスプリッターです。
Type-Cコネクタのため、ラズベリーパイ4に直接接続できます。
PoEスプリッター裏の印字の写真が下記です
「5V_2.4A出力」「Type-C」など型番含めて記載されていました。
PoEの電源が取り出せる
PoEスプリッターの大きなメリットとして、電源が簡単に取り出せることがあります。
24V/12V/5Vの電源が無くても、(PoEハブ経由の)LANケーブルから取り出せます。
(PoEスプリッター先は電源のみの接続でも動作します。)
今回はUSB5Vのため日常的にある電源ですが、12V,24Vだと普段は手持ちにありません。
今後12V,24Vを取り出す場合は、PoEスプリッター経由の方が取り出す方が楽かもしれません。
(デバッグレベルの電源精度なら汎用電源買うよりも安くつくかも…)
PoE専用機器の自作に便利
例えば、ラズベリーパイでもPoE給電するにはPoE HATが本来必要です。
本来はPoE給電するにはPoE専用機器・オプションを購入して接続する必要があります。
しかしPoEスプリッターがあればどのデバイスもPoE対応機器とすることができます。
ラズベリーパイ単体でもPoE給電可能になります。
(ラズベリーパイ視点では普通に電源が入っているのと同じになります。)
専用のオプションPoE HATを取り付けるにはヒートシンクを外す必要が有りました。
PoEスプリッターならばラズパイにそのまま取り付けが可能です。
PoE HATの詳細に関しては下記記事で紹介してます。(リンク先はこちら)
デメリットとしてはスペースを使うこと
PoEスプリッターの一番のデメリットとしては配線スペースを使うことです。
本来は省配線の目的もありLANケーブル1本でした。少し残念な配線の形になります。
やはり専用のオプション・機器の方がLANケーブル1本で済み、綺麗な形です。
PoEスプリッターのメリット・デメリットに関しては状況・環境によると思います。
下記のような場合は、PoEスプリッターを使う方がメリットがありそうです。
- (取り付けは楽に)簡単にPoEのテストしたい
- 汎用的に多くの機器にPoEの接続を試したい
- 配線スペースには余裕がある
PoEスプリッターの動作テスト
PoEスプリッターで分離(変換)された「電圧」と「通信」が問題ないかテストしていきます。
PoEスプリッターの5Vの電圧測定
PoEスプリッターで安定したにUSB5Vが出力されているか確認します。
最初に電圧を確認してみました。
PoEスプリッターから直接測定するのは難しいため、ラズパイの5V経由で測定します。
テスターで電圧を測定すると5.09Vでした。しっかり5Vが出力されています。
PoEスプリッター使用時のCPUクロック
またPoEスプリッター出力の5Vが安定しているか確認するため、CPUクロックを測定します。
もし仮にラズパイの電源が安定しないとクロックが600MHzまで低下します。
下記写真はわざと不安定な5V電源を使った場合のCPUクロックです。
Pythonのプログラム含めて下記記事で紹介しています。(リンク先はこちら)
結果は問題ありませんでした。
PoEスプリッター経由でもラズパイ4の最大クロックの1500MHzを維持できていました。
PoEスプリッター使用時の通信速度
PoEスプリッター経由の通信速度も確認します。
今回のスプリッターはギガビットイーサ対応ですが、実際の速度含めて確認します。
測定方法・テストの詳細に関しては下記記事で紹介しています。(リンク先はこちら)
PoEスプリッターを経由した実際の通信速度でもギガビットイーサ帯を確認できました。
ビットレートは900M~950M(bps)でした。1000Mbpsに近い値が出ています。
PoEスプリッター使用時の通信速度のテスト結果が下記になります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 |
pi@raspberrypi:~ $ iperf3 -c 192.168.0.100 Connecting to host 192.168.0.100, port 5201 [ 5] local 192.168.0.30 port 47412 connected to 192.168.0.100 port 5201 [ ID] Interval Transfer Bitrate Retr Cwnd [ 5] 0.00-1.00 sec 109 MBytes 914 Mbits/sec 91 230 KBytes [ 5] 1.00-2.00 sec 110 MBytes 920 Mbits/sec 0 230 KBytes [ 5] 2.00-3.00 sec 110 MBytes 924 Mbits/sec 0 230 KBytes [ 5] 3.00-4.00 sec 108 MBytes 907 Mbits/sec 0 230 KBytes [ 5] 4.00-5.00 sec 110 MBytes 925 Mbits/sec 0 230 KBytes [ 5] 5.00-6.00 sec 111 MBytes 928 Mbits/sec 0 230 KBytes [ 5] 6.00-7.00 sec 111 MBytes 928 Mbits/sec 0 230 KBytes [ 5] 7.00-8.00 sec 111 MBytes 928 Mbits/sec 0 230 KBytes [ 5] 8.00-9.00 sec 111 MBytes 927 Mbits/sec 0 230 KBytes [ 5] 9.00-10.00 sec 111 MBytes 929 Mbits/sec 0 230 KBytes - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - [ ID] Interval Transfer Bitrate Retr [ 5] 0.00-10.00 sec 1.07 GBytes 923 Mbits/sec 91 sender [ 5] 0.00-10.00 sec 1.07 GBytes 923 Mbits/sec receiver iperf Done. |
まとめ
今回はPoEスプリッターに関して紹介させていただきました。
記事をまとめますと下記になります。
PoEスプリッターを使えば、簡単かつ安くPoE対応することが可能です。
本格的なPoE専用機器を買う前の入門・テスト用としてもちょうど良い機器だと思います。
是非皆さまもPoEを一度試してみて下さい。。
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