コンデンサの容量を簡易的なLCRメータで測定してみました。
容量だけでなく、抵抗(ESR)、損失(Vloss)の成分まで確認しています。
LCRメータの使い方から測定方法まで紹介します。
コンデンサの容量を測定!LCRメータを使ってみた
コンデンサの容量を測定してみました。簡易的なLCRメータで確認できます。
容量だけでなく、抵抗(ESR)、損失(Vloss)の成分まで確認可能です。
アルミ電解コンデンサとセラミックコンデンサの2種類を試してみました。
数10uF~数百uFの電解コンデンサは問題なく測定出来ました。
サンプル数n=10の測定結果含めて含めて説明していきます。
また動画でも測定の様子をしています。是非一緒にご覧ください。
コンデンサ容量の測り方
手軽にコンデンサ容量を測定したい場合はテスターが簡単です。
コンデンサ容量を測定できるテスターは市販でも売られていますが、種類が限られます。
筆者のテスターにもコンデンサ容量測定の機能はありませんでした。
テスターの抵抗でコンデンサ測定しても…
テスターの「抵抗」でコンデンサを測定しても、基本的には無限大になるだけです。
この方法ではコンデンサを測定できていません。
下記記事で抵抗値が無限大になる仕組みを紹介しています。(リンク先はこちら)
LCRメータを購入してみる
今回は折角なのでテスターではなく、簡易的なLCRメータを購入してみました。
LCRメータではコンデンサ容量以外にも抵抗・インダクタ成分など、色々な特性が分かります。
本格的なLCRメータは高価すぎて個人では難しいですが、簡易的なものは購入可能です。
充電用のUSBケーブル、測定用のプローブ、測定サンプルまで付いてきました。
コンデンサ容量だけなく、抵抗(Ω)、ダイオードの順方向電圧(Vf)なども測定可能です。
多くの電子部品のスペックを確認することが可能です。
別記事となりますが、ツェナーダイオードのツェナー電圧(VZ)も測定しています。
ツェナーダイオードを破壊!ショートとオープンの故障させてみた
またリレーのコイル抵抗・インダクタンス成分も測定した記事もあります。
コンデンサ容量を測定できるテスター
またLCRメータ以外にも、実際にコンデンサを測定できるテスターは下記などがあります。
下記記事で紹介している筆者所有のテスターと同様なカードタイプです。
HIOKI(日置電機) 3244-60 デジタルマルチメーターの使い方
テスターでコンデンサ容量を測定を考えている方は、購入前に機能確認をお願いします。
電解コンデンサの容量を測定
今回購入したLCRメータの測定は簡単です。コンデンサをソケットに挿入するだけです。
後はStartを押すだけで、自動的にコンデンサの極性含めて確認してくれます。
冒頭でも紹介しましたが、動画でも紹介していますので是非一緒にご覧ください。
測定するコンデンサに関しては、電子工作の部品セットに入っているものを使用しました。
どういった基準で選別されているのかは不明のため、あくまで参考扱いとしてください。
(そもそもLCRメータも簡易的なもので、校正も何もしていない状況です)
電解コンデンサ容量10uF
電解コンデンサの10uF(耐圧50V)をサンプル数n=10で測定してみました。
下記(平均値の)結果となり、どのコンデンサも10uFを下回ることはありませんでした。
- コンデンサ容量…11.04uF
- 抵抗成分(等価直列抵抗)_ESR…2.8Ω
- 損失_Vloss…1.4%
実際にn=10の測定データは下記です。
コンデンサ容量(uF) | 抵抗成分_ESR(Ω) | 損失_Vloss(%) | |
1 | 10.01 | 1.6 | 0.9 |
2 | 11.18 | 2.9 | 2.0 |
3 | 11.19 | 2.9 | 0.9 |
4 | 11.04 | 3.0 | 1.5 |
5 | 10.86 | 3.4 | 1.5 |
6 | 11.59 | 2.7 | 1.2 |
7 | 10.22 | 2.6 | 1.4 |
8 | 11.35 | 3.0 | 1.2 |
9 | 11.73 | 2.9 | 1.5 |
10 | 11.20 | 2.8 | 1.5 |
平均値 | 11.04 | 2.8 | 1.4 |
(不偏)標準偏差 | 0.549 | 0.47 | 0.33 |
簡単に結果の妥当性として、LTSPICEで同じ容量帯・耐圧のESRを確認しました。
種類・型番で変わりますが、大体数Ω程度でした。
今回のESRの測定結果も2.8Ωでしたので大きくは間違っていなさそうです。
電解コンデンサ容量470uF
電解コンデンサの470uF(耐圧16V)をサンプル数n=10で測定してみました。
下記(平均値の)結果となり、どのコンデンサも470uFを下回ることはありませんでした。
- コンデンサ容量…499.6uF
- 抵抗成分(等価直列抵抗)_ESR…0.34Ω
- 損失_Vloss…2.2%
実際にn=10の測定データは下記です。
コンデンサ容量(uF) | 抵抗成分_ESR(Ω) | 損失_Vloss(%) | |
1 | 497.1 | 0.29 | 2.0 |
2 | 498.3 | 0.33 | 2.5 |
3 | 498.3 | 0.32 | 2.5 |
4 | 503.8 | 0.38 | 2.0 |
5 | 510.8 | 0.34 | 2.3 |
6 | 503.8 | 0.35 | 2.3 |
7 | 484.8 | 0.35 | 2.2 |
8 | 492.2 | 0.32 | 2.0 |
9 | 505.5 | 0.33 | 2.0 |
10 | 501.1 | 0.34 | 2.3 |
平均値 | 499.6 | 0.34 | 2.2 |
(不偏)標準偏差 | 7.312 | 0.024 | 0.20 |
簡単に結果の妥当性として、LTSPICEで同じ容量帯・耐圧のESRを確認しました。
種類・型番で変わりますが、大体0.数Ω程度でした。
今回のESRの測定結果も0.34Ωでしたので大きくは間違っていなさそうです。
セラミックコンデンサの容量を測定
数pF~数百nFのセラミックコンデンサに関しては上手く?測定出来ませんでした。
0.1uF(104)をn=10で測定してみたのですが、どれも0.1uF以下の結果でした。
DCバイアスの影響が効いているのかもしれません。
(DCバイアス…直流DCを印加すると容量が減る現象。特にセラコンは影響します。)
下記(平均値の)結果となり、0.1uFの約半分の容量になりました。
- コンデンサ容量…0.050uF
- 損失_Vloss…0.6%
実際にn=10の測定データは下記です。
セラミックコンデンサでは簡易的なLCRメータのESRは表示されませんでした。
コンデンサ容量(uF) | 損失_Vloss(%) | |
1 | 0.059 | 0.6 |
2 | 0.049 | 0.6 |
3 | 0.050 | 0.6 |
4 | 0.047 | 0.9 |
5 | 0.049 | 0.6 |
6 | 0.048 | 0.5 |
7 | 0.054 | 0.7 |
8 | 0.047 | 0.6 |
9 | 0.050 | 0.6 |
10 | 0.047 | 0.5 |
平均値 | 0.050 | 0.6 |
(不偏)標準偏差 | 0.004 | 0.11 |
容量が極めて小さいと測定できず
あと試験的に10pFという極めて小さい容量も測定してみました。
uFと比べると6桁程小さい容量です。(※uF…10^( -6) > nF…10^(-9) > pF…10^(-12))
こちらに関しては測定不可でした。
一応LCRメータの説明書を見ると、測定範囲は25pF~100mFということでした。
(本当にpFの測定できるのかは疑問なところはありますが…)
まとめ
今回はコンデンサの容量をLCRメータで測定する旨を紹介させていただきました。
記事をまとめますと下記になります。
LCRメータがあるとコンデンサ、ダイオードなどの電子部品の測定が可能です。
部品の小さく印字を目を凝らさなくても、値が確認できるようになります。
結構便利なアイテムで数千円で購入可能なので、是非皆様もお試し下さい。
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