どうもミソジです。
今回はLTSPICEでI2C,UART,SPIシミュレーションを行う過程の記事LTSPICEでAC特性をシミュレーションしてみた_モデル検証編」を紹介します

前回はIBISモデルからSPICEモデルに変換したI2CのSDAピンのDC特性を検証しましたので、今回はAC特性をシミュレーションしてみたいと思います。

前々回のモデルを作ったLTSPICEでI2C,UART,SPI等のシミュレーションをしてみた_モデル準備編」記事のリンクはこちらです
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そして前回のDC特性を検証したIBISモデルから作ったSPICEモデルのDC特性を検証してみた_モデル検証編」記事のリンクはこちらです
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目次
1.AM3352のAC特性をデータシートを確認する
2.「AC特性の出力特性_Rise time,Fall time」from データシート
3.「AC特性の出力特性_Rise time,Fall time」from IBIS
4.LTSPICEでシミュレーションしてみる_概要編
5.LTSPICEでシミュレーションしてみる_詳細編
6.まとめ・感想


1.AM3352のAC特性をデータシートを確認する

今回はAC特性をAM3352のデータシートから確認していきます

データシートはこちらからダウンロードできます。ラズベリーパイのように小さいボードの「BeagleBone」で使われているCPUです。



上記をIBISモデルが無かったラズベリーパイの代わりに見立てて使っています
Raspberry Pi 3 Model B V1.2 (日本製) 国内正規代理店品
Raspberry Pi
2016-02-29




今回は「AC特性の出力特性_Rise time,Fall time」の2つを確認してデータシート通りになっているかを確認したいと思います。

2.「AC特性の出力特性_Rise time,Fall time」from データシート
(20180722時点の)データシートでは「7.8.1章I2C Electrical Data and Timing」に記載されています。

引用すると「I2C Electrical Data and Timing」は下記になります。今回は100kbps想定でシミュレーションを行いますのでSTANDARD MODEの値です

 
MIN
NOM
MAX
UNIT
tr(SDA)
Rise time, SDA 

 
1000
ns
        tf(SDA)
Fall time, SDA  
 
 
300
ns


今回もですが正直上記だけですと、MAX値でしか記載がなくシミュレーション・検証する上ではもったいないのでIBISモデルでも「AC特性の出力特性_Rise time,Fall time」を確認してみます


3.
「AC特性の出力特性_Rise time,Fall time」from IBIS
AM3352のIBISモデルは自由に入手できます。TIのリンク先はこちらからです。
前回同様に今回のIBISモデルとしては標準的なものを使用します。

内部PU,PDなど特についていない標準的な3.3V_IFを使用します
「3.3V-I/O-PI-NORMAL, IND, 10%]」を使って検証していきます
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そしてIBISモデルを上から見ていきますと[Ramp][Rising Waveform]があります

「Rampが全体的なRise,Fallの傾き」を定義していて、「Rising Waveformが特定の条件化での立ち上がり時の波形データ」のようです。下記は50ΩのPU(3.3Vで吊っている)条件を表していると思います。

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その下を追っていくと[Falling Waveform]があります
「Falling Waveformも特定の条件化での立ち下がり時の波形データ」を示しているようです。

Rising Waveformと同様に50ΩのPU(3.3Vで吊っている)条件を持ってきています
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今回は時間に対しての電圧値(typ)(min)(max)が記載されています。PulldownとPullUPの必要な情報をEXCELに切り取ると便利です
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そしてEXCELでRising timeの必要な箇所をまとめますと、下記のようにグラフにできますので立ち上がり・立ち下がりの時間と電圧の関係性がよく分かります
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まずRising timeの時間-電圧のグラフは下記になります。
緑がV(max)、青がV(typ)、赤がV(min)を示しています

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前章で記載したデータシートではRise_time(MAX)=1000nsということでした。

あくまで1例ですが、IBISデータを見ると1ns程度で立ち上がりますのでデータシートはあらゆる条件を考慮したかなり大きな幅を持った値になっている様子です

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次に
Falling timeの時間-電圧のグラフは下記になります。
緑がV(max)、青がV(typ)、赤がV(min)を示しています
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Risingと同様にデータシートではFall_time(MAX)=300nsということでしたがIBISデータを見ると1ns程度で立ち下がります
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この特性がIBIS⇒SPICE化したモデルでも同様な特性が出ているのかを次の章で確認していきます

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4.LTSPICEでシミュレーションしてみる_概要編
データシート,IBISモデルともに立ち上がり・立下りを見てきましたので
IBISのデータと対応するように出力先を50ΩのPUに合わせてシミュレーションしていきたいと思います。

今回もIBISモデルの特性は「Typ」を選択しています
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モデルは前回作成したI2CのSDAピンをモデルにしたものです
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今回のモデルのイメージとしては下記IBISモデルとしてみると分かりすいと思います

①「IN」・・・ SDA信号の波形を決めるピン
 ※今回は100kbps_周期10uでHigh,Lowを繰り返すパターンとします)
②「Vcc」・・・ ICの電源ピン
③「Vss」・・・ ICのGNDピン
④「Out」・・・ I2C_SDAの出力ピン

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実際のシミュレーションするモデルでは下記形で行います。
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前回作成した出力側のモデルを利用して出力先に抵抗を付けて特性を検証します。

今回の抵抗は50Ωです。本来50Ωなどつける機会は無いのですが、IBISデータの条件と合わせるため50ΩでPUします。(通常数mA流せば良いところを50Ωだと3.3V/50Ω=66mAも流れてしまいます)
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シミュレーションの結果は下記形となりました。電圧が0Vからでなく1.6V付近からの波形となっています。(多くの電流を流しているので内部のFETのオン抵抗で電圧差が出ている様子です)

しかしこれは前章で記載したIBISのデータ通りのため問題ありません。
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IBISのEXCELデータのtypを抜粋しますと1.6V付近からスタートしています。
前記事でも確認していましたがDC特性でもIBISからSPICEへ問題なく変換できています。
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それでは今回の目的のRise time・Fall timeを見ていきましょう。立ち上がり・立下りの一部分をアップしていきます。
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まずはRise timeです縦軸は1.6V~3.4Vを示しており、横軸は1目盛1nsで10ns区間を表示しております。
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そして次にFall time です。横軸が上グラフと違い1目盛2nsになっていることにご注意ください
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上記の結果を分かりやすく図示すると下記のように「0.1nsのRise/Fall入力波形」がSPICEモデルを通すことで「数nsのRise/Fall出力波形」になまっている形となります。無事ピンの特性を引き継いでシミュレーションができている様子です

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次の章からは実際にIBISとのデータ比較・入力出力波形の差分を詳細に確認してみます

5.LTSPICEでシミュレーションしてみる_詳細編

①IBISデータとの比較
ざっくりとですが、立ち上がり時間をLTSPICEでのシミュレーションでは完全に立ち上がるまでに3.5ns程度かかっています。
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そしてIBISのデータでは約1nsとなり、nsレベルでは差分が出てきています。

作成したSPICEデータはIBISとは完全に一致ではありませんでしたが、個人的なシミュレーション・デバッグレベルでは気にしない程度かとは考えています

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②入出力の差分
先ほど示した下記の差分をLTSPICE上で確認してみます
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シミュレーションを行うと下記結果となり橙色の入力波形が0~3.3V緑色の出力波形が約1.6V~3.3Vとなっているので、少し変な波形になりますが立下り箇所をアップします
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アップした結果が下記となります。入出力の立下りの差分が一目で分かります。前章でも記載しましたが作成したピンの出力特性が影響しており、十分にシミュレーションできているようです
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6.まとめ・感想
今まで作ったSPICEモデルのAC特性は個人的なシミュレーション・デバッグレベルでは引き継げていたのではと思います。次回からは実際にある配線やIFを想定したシミュレーションを確認したいと考えています。

今日はここまでにしたいと思います
どうもありがとうございました


ラズベリーパイで簡単にI2C通信ができます。

EEPROMの詳細は下記となります。